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JA・組合員活動

先端農畜産 希望の光 循環型農業も目標に

2021.09.29

先端農畜産 希望の光 循環型農業も目標に

 JAおやま管内は、牛の肥育が盛んに行われ、29人の生産者が約2,000頭の黒毛和種を肥育しています。良質な稲わらと飼料をたっぷり食べて育った和牛は、肉質が柔らかく、うま味成分が豊富で県内外から人気が高く、JAを代表する逸品です。生産者は、特に猛暑の夏から秋にかけて、牛が体調を崩さないよう管理作業に励みます。

 小山市中地区の齋藤雄志さん(43)は、大学卒業後に家業であった農業に就いた。「農業は、経営が困難で大変な職業というイメージがあったが、将来ある経営が必ずできるのではないかと思った」と笑顔で当時を振り返ります。

 雄志さんは、父とは違う経営方法はないかと模索し、肥育経営から繁殖・肥育の一貫経営に移行しました。2019年5月から株式会社サイトウ農場へ法人化し、現在230頭を肥育しています。

 繁殖・肥育の一貫経営は、先行投資がありますが、子牛価格の変動リスクや種付けする血統が自分で選べるなどメリットがあります。将来規模拡大を視野に入れている雄志さん。肥育牛全頭を自家産牛として出荷するというサイクルを構築させたいと考えています。

 また、循環式農業にも取り組んでいます。「家畜を肥育し、排せつ物を堆肥として土をつくる。その土で米を栽培。米は、人間が食べるだけではなく、飼料として家畜を育てることができる」と雄志さんは、循環式農業の地球・地域に優しい持続可能な農業の在り方を説明します。そのため、畜産業の規模拡大とともに米の生産拡大も目標に掲げています。

 雄志さんは、近年の飼養戸数の減少や高齢化に伴う生産・経営基盤の弱体化も懸念しています。情報通信技術(ICT)導入やドローン(小型無人飛行機)などを駆使することで、省力管理の実現、労働力の軽減につながるため、雄志さんは日々さまざまな情報を経営に取り入れています。牛舎に監視カメラを設置することで、自宅や携帯から分娩(ぶんべん)など牛舎の様子を確認し、対応をしています。

 農業の魅力を雄志さんは「やればやっただけ収益として結果が出る。収益が出ない時には、何か原因がある。『まぁーいっか!』は通用せず、日々の細やかな仕事が結果として反映される」と笑顔で話します。

 さまざまな可能性を秘め、農業の将来を見据える雄志さんは、さらに上を目指し、希望に満ちた先端農畜産をかなえるでしょう。